[特許/インド]改正特許規則 ~実施報告書の提出に関する公式見解~
既報では、2024年3月15日に改正及び施行された特許規則(以下、改正特許規則)を紹介した。改正特許規則の中には、インドにおける特許発明の商業的実施の程度に関する陳述書(特許規則131、様式27;以下、実施報告書)の提出スケジュールに関するものも含まれている。具体的には、従来は特許付与された年度の次の会計年度から「毎年度につき1回(once in respect of every financial year)」、当該年度の満了から6月以内に提出が義務付けられていたが、改正特許規則では「3会計年度につき1回(once in respect of every period of three financial years)」、当該3会計年度の満了から6月以内に変更された。この変更点について、現地代理人によって実施報告書の提出期限に関する見解が分かれていた(既報の追記内容で詳述)。2024年8月26日、この点に対してインド特許庁から公式見解が出されたので以下に整理した(期限については赤文字)。
※1:これまでの実施報告書を2023年9月30日までに提出していることを前提
2022年度より前に特許付与されたものについては、「実施報告書を2024年も提出する」との現地代理人の見解もあったが、上記の表の通り、実施報告書の提出期限は2026年9月30日であることが今回の公式見解にて明らかになった。
なお、上記の表の期限延長の内容は以下の通りである。
規則 |
内容 |
規則131(2)の下でForm4を提出することによる延長は最大3月であり、1月あたり10,000インドルピーが必要。 |
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特許権者/ライセンシーが規則131(2)の下で3月の延長を利用できなかった場合における規則138の下での延長は最大6月であり、1月あたり50,000インドルピーが必要。 |
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規則131(2) +規則138 |
規則131(2)に加えて、規則138の下における更なる延長は最大9月(=3月+6月)であり、9月の延長に対し合計330,000インドルピーが必要。 |
※2:1インドルピー=1.72円(2024年8月29日のレート)
また、インド特許庁からの公式見解には、2023年度及び2024年度に終了する特許についての実施報告書に関する内容も含まれており、以下に整理した(期限については赤文字)。
2023年度に終了した特許があるようであれば、上記の表の通り2024年9月末までに実施報告書を提出する必要があることに留意する必要がある。
[出典]
インド特許庁「FREQUENTLY ASKED QUESTIONS (FAQs) ON FORM 27」
※年度とは4月1日~翌年3月31日のことであるが、インド特許庁によるこの公式見解では、例えば2023年度がFY 2023-24のような表記となっている。
インド特許庁「Patent Amendments Rules 2024」(PDF)
インド特許庁「Form and Fees」
弊所サイト「[特許/インド]特許規則改正(※追記あり)」